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多摩大学のある多摩市には、市民活動の中間支援組織として、「公設民営」の多摩NPOセンター(以下、TNC)があります。TNCは開設以来9年が経過しましたが、来年度(平成21年度)から受託団体が変ります。私は、今年までの4年間業務を受託したNPOと関わりがあり、初めの2年間を副センター長、次の2年間をTNC運営諮問委員会委員を務めました。TNCは、私が多摩というフィールドに研究者や教員として関わる上での基盤をつくる貴重な経験を与えてくれた場所でもあります。以下の文章は、TNCが発行している「季報・多摩NPOセンター 13号」に寄稿した論考です。TNCの4年間を振り返るなかで感じた、市民活動の中間支援組織の重要な業務のひとつである「コーディネート機能」について書いています。この論考に少し手を加えご紹介します。 ■「コーディネートできるようになる」ために 「コーディネート機能」といっても、その中身には触れません。おそらく「コーディネート機能」が市民活動の中間支援組織にとって中核的なセンター機能であることに異論はないと思います。市民活動に必要な人、モノ、カネ、情報をつなぎ合わせ、団体どうし、団体と企業、団体と行政などのネットワークづくりをコーディネートすることは市民活動にはどうしても必要なものです。だから、「コーディネートする」ことの重要性・必要性については議論されてきたと思いますが、どうしたら「コーディネートできるようになる」のかについてはあまり考えられてこなかったと感じます。 私がこのよう問題意識を持ったのは、現在のTNC受託団体の初期の苦労をみていたからです。多摩市から業務を委託したときに、ハード面では、廃校を利用したオフィスや会議室、印刷の機械、貸し出しのできるプロジェクター、パソコン、書籍や資料などはありました。また、リフォームや必要な機材の調達などの整備は最初に行われました。情報面でも、多摩市内にある団体のリストもありましたし、情報誌やチラシを送ってくれる全国の様々な団体とのネットワークも少なからずありました。ところがそれらの資源を利用して、多摩市の市民活動団体のために「コーディネートする」ことは受託当初からできたとは言いがたい状態でした。なぜなら、私たちは、例えばAという団体とBという団体がつながると、どのような価値を生み出されるかということを具体的に考えられる情報を持っていなかったからです。 ■つながるための情報 そこで、TNCは2年目から積極的に外に出て行きました。自分たちの存在を知ってもらうこと、市民活動団体が困っていることを真摯に聴くということを「団体訪問」として始めたのです。私自身もスタッフに帯同していたからわかるのですが、最初は「何しに来たのだろう」という目で見られます。それが話をしていると、だんだんと話がはずんで、悩みや課題を打ち明けてもらい、最後はにこやかに終わることが多かったと思います。また、数をこなすうちに私たちも質問やアドバイスが的確になり、だんだんと「ああ、この団体とあの団体がつながればおもしろいことができるかもしれない」と思うことが多くなってきました。この「団体訪問」した数は今までに101団体に達するそうです。この試みが、私たちに「つながるための情報」をもたらしてくれたのです。 ■「関係」に帰属するコーディネート機能 このような経験からわかることがあります。最初から「コーディネート機能」を持った中間支援組織などないということです。なぜなら、コーディネートするのは、組織ではなく、そこに所属する人間であり、その人間に対する信頼がこの機能の基盤となるからです。だからこそ、人と人が信頼関係を醸成するための時間が必要になります。 組織の運営上、「コーディネート機能」が個人に左右されるのはリスクが高いという考えもあると思います。それなら最初から、多くの団体を集めて、話し合いながら自然とその場がコーディネートされていくほうがよいと考えるかもしれません。しかし、これも理想論的で大変難しいことです。多様な団体や人が集まり、そこが何かを達成する「場」になるためには、その成果に責任を持つ誰かが必要です。言い換えれば、誰かが「これをやろう、それは私が責任を持つ」という宣言と行動がなかったら、その「場」は「場」として機能しないのです。やはり「出る杭」となるコーディネーターが不可欠なのです。そうでないと「こうあるべきだ。でも、私はできない(やらない)」という人たちばかりになってしまいます。「コーディネート機能」は先の「時間をかけて醸成する信頼関係」と「責任を持とうとする覚悟と行動」によって生み出されます。だから機械のように、オフィスの片隅に保存しておくことができません。「コーディネート機能」は、顔が見える人と人の「関係」に帰属するのです。 ■「コーディネート機能」を引き継ぐ難しさ そうなると「コーディネート機能」に関する最大の課題は、「引き継ぐ」ということになります。ある特定の人が得た「コーディネート機能」をどうやって受け継いでいくか。特に前の状況をまったく知らない人たちが受け継ぐ場合、どのよう方法が可能か。この課題をクリアしなくてはなりません。もしこの引継ぎが失敗すれば、二重の意味で損失です。ひとつは今まで積み上げてきた情報や関係が死んでしまうこと、もうひとつは、次に中間支援を担う主体がまたゼロからその「コーディネート機能」を育てていかなければならないということです。そのために払う様々なコストは莫大です。中間支援という市民活動にとって不可欠な活動を持続可能なものにしていくためにも、この「引き継ぐ」ことを意識し、誰が責任を持って取り組んでいくかを明確にすることが必要となるのです。 |
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